殿様枕症候群

こんにちは。店長です。

「高枕」は身近な存在だが、その高さが12cmを超えると、特発性椎骨動脈解離の有病リスクが高まり、命に危険が及ぶ可能性があることが国立循環器病研究センターの田中智貴医長によって指摘されています。

特発性椎骨動脈解離は脳卒中の原因となる疾患であり、その有病率は枕の高さに比例していることが田中先生の研究グループによって立証され、「殿様枕症候群」という疾患概念が提唱されました。

田中先生は、患者の枕の高さと特発性椎骨動脈解離との関連性に気付き、「高い枕で寝ています」という患者に出会ったことがきっかけでこの研究に取り組んだと語っています。

脳卒中は高齢者に多い疾患ですが、50代や若年層でも特殊な原因で発症することがあり、特発性椎骨動脈解離がその一因とされています。

研究では、『23年までの5年間、同センターで特発性椎骨動脈解離と診断された53人と同時期に入院した同年齢層の53人とを比較』し、枕の高さによるリスクの変化を検証しました。

その結果、12cmを超える高い枕を使用する人ほど、特発性椎骨動脈解離の発症リスクが高まることが判明。

具体的には、15cm以上の高い枕を使用する場合、解離のリスクが90%に達するという驚くべき結果が示されました。さらに、枕の硬さも関連しており、硬い枕ほどリスクが顕著であり、柔らかい枕では緩和される傾向があります。

田中先生によれば、

 「枕が高すぎると、首が極端に曲がって、首に大きな負担がかかった状態のまま、長時間眠り続けることになってしまう。

一日の3分の1を占める睡眠時間に、適正な寝姿勢は非常に重要なんです。

枕が高いことによって椎骨動脈が頸部の前屈によって引っ張られ、傷んで血管が裂け、脳卒中を起こす可能性があります。

最悪の場合、動脈瘤やくも膜下出血などを併発することも考えられるんです。」

という。

森優奈さん(西川広報担当)によれば、枕の高さは個人の最適な寝姿勢に合わせるべきであり、その目安は「立った姿勢を横に倒した姿勢が理想的」だと説明しています。

横向き寝の場合には、頭から首の骨、背骨までが真っすぐになる高さの枕を選ぶことが重要であり、これを考慮して設計された枕も存在します。

また、個人のニーズに合わせるためには、オーダーメイドの枕も選択肢として挙げられています。

最終的には、寝姿勢や個人の体型に合わせて、枕の高さを選ぶことが大切です。

田中先生の研究結果に基づいて、枕の高さが特発性椎骨動脈解離のリスクに影響する可能性が示唆されています。

枕選びは健康に直結する要素であるため、慎重に検討することが重要です。