ギャッベ・キリム・トライバル・ペルシャ絨毯フェア

今年も「ロイヤルバザールがやって来る!」。
年に一度、この時期に会える400枚のラグたち。
毎年違うラグを届けてくれるマナフィさんも来店。
定番品からなかなか見られないレアなラグまで、手織りの一点ものの商品を種類もサイズも豊富にご用意します。
きっと素敵な一枚に出会えるよ。

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見たい種類のラグがありましたら快眠館まで連絡ください。できる限りご用意させていただきます

ギャッベ

ギャッベについて

ギャッベとは、イラン南西部ザクロス山脈周辺の遊牧民族・カシュガイ族などによって手織りされる毛足の長い絨毯のことを言います。
ギャッベを直訳すると「粗い」という意味で、きめ細かなペルシャ絨毯と比べてざっくりとラフに織り込まれていることが特徴です。
厚みは15mm~30mmほどもあり、たいへん丈夫です。
ギャッベはもともとテントで移動生活をする遊牧民にとって生活必需品で あり、寒さや地面の固さから身を守るものでした。遊牧民はギャッベを敷いて寝て、その上で食事をし、生活をともにしていたのです。

天然ウール100%で一枚一枚丁寧に手織りしています

ギャッベには手織りならではの深い味わいがあります。
素材は、遊牧民が大切に飼育している羊の毛です。化学繊維は使いません。ですから、とてもふかふかとしていて自然な感触です。柔らかく、通気性がよいので夏はサラリとしていて、厚みがあるので冬は暖かく、クッション性が抜群で寝転ぶといい気持ちです。
また、気温の高低差のある地方の羊の毛なのでたっぷりと脂を含み、汚れを弾いてくれます。もし何かをこぼしてしまった場合もすぐに拭けば汚れ は染み込みません。
気楽に使えるうえに、丈夫なので長持ちします。

デザインには遊牧民の祈りが込められています

デザインはシンプルでかわいらしく牧歌的。これは、遊牧民がそれぞれ思い入れのあるモチーフを織り込んだものです。
人の姿や自然のモチーフばかりで、心が和みます。その図柄はまったく気取ったところがなく素朴で、誰もが親近感を持てます。
ギャッベには基本的に予め決まった設計図がなく、遊牧民ひとりひとりが即興で織ります。出来上がった品は世界でひとつだけのものになります。モチーフがわざとずれていたり、形に味があったり、ポイントとなる色がところどころに現れたり。配置と配色の妙は古くからの芸術的センスを感じさせます。

草木や果実を使った自然な色

ギャッベの色合いもギャッベの味わいに深みを与えています。
白・オフホワイト・アイボリー・ベージュ・茶色・黒などは羊そのままの染めていない毛で、最もナチュラルな状態でふんわりとしています。
また原毛に天然草木染めで優しい風合いの色を入れています。もちろん染色や糸紡ぎの工程もすべて手作業です。
近年、イラン以外の国で作られた安価なギャッベ風絨毯もありますが、比 較すると色も風合いもペルシャ産のものとは全然違います。手ではなく機械で織られたり、ウールではない化学繊維や化学染料が使われたりしているからです。

トライバルラグ

トライバルラグとは

トライバル(Tribal)とは“部族の”という意味。「トライバルラグ」とは直訳すると「部族絨毯」。ペルシャ絨毯の中でも民族色の濃い、地方部族によって織られた絨毯のことです。(キリムもある意味部族のラグですが、ここでは毛足のある絨毯のことをそう呼びます。)
国土の広いイランには、有名な5大産地(タブリーズ、ナイン、イスファハン、クム、カシャーン)以外にも実に様々な産地があります。 地方色の濃いトライバルラグは、多種多様な遊牧民が暮らしてきたペルシャの特徴を表しています。 それぞれの産地の気候や風土によって色もデザインもバラエティに富み、深い味わいがあります。

現在私たちがよく目にするペルシャ絨毯の源流となっているトライバルラグは、素朴で温かみがあり、また、生活の知恵の中で育まれているために非常に実用性が高く、使い心地は抜群です。
それぞれの地方原産の素材にこだわり、昔からの技法によって時間に縛られず丁寧に手間暇をかけて作られている、大変質の良い絨毯です。使っているうちにだんだん柔らかくなっていき、その魅力に気がつくと愛着が沸き、一生物となるでしょう。
織りはペルシャ絨毯のしっかりとしたものですが、比較的カジュアルだったりシックだったりエスニックなテイストがあったりと、非常にお洒落で大注目のラグです。ヴィンテージを好まれる方にもおススメ。世界のハイブランドの広告やショーウィンドウなどでさりげなく敷いているのを目にしたこともあるはずです。

トライバルラグの素材と特徴

ペルシャ絨毯やギャッベのように、トライバルラグも基本的にウール100%素材。保温性とともに通気性・放熱性が良いので冬は暖かく、夏はサラリとしています。また羊の毛の脂が汚れを弾くので、何かこぼしてしまったときもさっと拭き取れば染み込むことがありません。
ウールの個性によっては使い込むごとに光沢を増したり、色が変化していくものもあり、まただんだんしなやかに馴染んでいくものもあり、育てていくのが楽しいラグです。
ロイヤルバザールではニュー・ラグ(製作後20年未満のもの)はもちろん、ヴィンテージ・ラグ(製作後20年~のもの)も豊富に取り揃えております。アンティーク・ラグ(制作後100年以上のもの)は非常に希少です。
ヴィンテージ・ラグはもちろん傷んだところを修繕し、クリーニングを施しています。毛が均等でなくなったラグは、毛足をシャーリング加工したりリメイクしたりして、ペルシャの人々はラグを最後まで大切に使いますが古くなったものにはまた味わいがあるものです。

ペルシャ絨毯

ペルシャ絨毯とは

ペルシャ絨毯はイランで製作された手織り絨毯の総称で、イラン各地に特徴の異なる絨毯を織り上げる産地が点在しています。
ペルシャ絨毯風の模様のラグや機械で織った絨毯も存在しますが、それはペルシャ絨毯とは言えません。またペルシャは歴史が古く隣国と陸続きなので、今のイラン領土外の周辺諸国にも手織りの絨毯を作る文化があります。しかし現在のペルシャ絨毯は世界で最も優れた絨毯であると認められ、イランの誇る伝統工芸として一目を置かれています。現代では国の産業となり世界100ヶ国以上に輸出されています。
ペルシャ絨毯の伝統技術は古代から脈々と受け継がれ現代に至ります。ペルシャ人は日本人同様、靴を脱いで床 (絨毯)の上で生活します。西洋とは違い非常に日本に馴染みやすい床の文化なのです。

なぜペルシャ絨毯は高価なの?

ペルシャ絨毯は高いというイメージがあると思いますが、もちろんそれには数々の理由があります。
まず一つには、一枚一枚手で織っているということです。そしてとても細かいです。ペルシャの織りの細かさは、ノット数(1㎡あたりの編み目の数)で表されます。一枡当たりの密度が高いほど手仕事の時間が掛かっていると言えます。また一般的にノット数が高いほど柄は鮮やかに美しく浮かんできます。
二つ目は、その丈夫さです。ペルシャ絨毯の結び目は非常に頑丈です。一生物とよく言われる所以です。また、専門の修繕・クリーニング職人も多いので傷んだところを直し、長い間きれいに、大切に使うことができます。
三つ目には伝統的・芸術的価値です。一口にペルシャ絨毯と言ってもいろいろありますが、それぞれが個性を持っています。エキゾチックなものからほっこりしたものまで。
産地によって非常にバラエティがあるので、なかなか奥深い世界です。また古くなると艶やしなやかさが出て味を増すものもあります。いわゆるヴィンテージ・アンティーク品です。欧米では靴で直接絨毯を踏むので、古いものが好きな方の中には「踏めば踏むほど価値を増す」という考え方もあるようですが、ペルシャでは修繕しながら使うので、なるべく良い状態にして売りに出すという文化があります。好みは人それぞれです。
他にも素材の良さ・工程・染色の技術・デザイン性の高さなどさまざまな理由があります。

一枚のペルシャ絨毯ができるまで

ペルシャ絨毯を作るには織る作業だけではなく途方もないプロセスがあります。
まず絨毯のデザイナーがデザイン画を描きます。一般的に織り手とは別の専門のデザイナーが、設計図のようなものを作成します。
次に原料となる糸を紡ぎます。材料は天然のウールかシルクですが、シルクのほうがはるかに細かい作業で時間が掛かります。
次に糸を染めます。こちらも専門の染め職人の手によるもので、天然草木染めが一般的です。
そして織り機の設定です。デザイン画に基づいて正確に計算し、縦糸と横糸を設定します。
そしてようやく織りの作業に入ります。ペルシャ絨毯は縦糸・横糸にパイル糸を結んでいくことによって厚みと複雑な模様が生まれます。織り上げるまでのこの工程に物によって数ヶ月~数年~数十年と、大変な時間が掛かります。

織り上げたら仕上げの作業も丁寧に行います。専門の職人によるクリーニング、シャーリング(表面の糸の長さをカットして揃える)、端と房の処理、パイピング(絨毯を織り機から外して新しい縁を縫い付ける)、これで完成です。

ペルシャ絨毯の素材

パイル糸に使われる材料は主にウールかシルクです。ウールの絨毯は縦糸にコットンを使った絨毯もあります。一般的にパイル糸がシルクの場合はシルク絨毯と呼び、ウールの場合はウール絨毯と呼びます。またウール・シルク混の絨毯もございます。
シルクはカスピ海沿岸やカシャーン地方などで養蚕されています。シルク100%の絨毯は非常に細かく美しく、光沢と気品があります。薄くてしなやかで、光の角度や見る向きによって色彩が変化します。芸術的で豪華な魅力はありますが、ウールより耐久性はありません。すべすべした感触と高級感は抜群です。タペストリーにして壁に掛ける人もいます。

ウールは主に羊の毛で、中にはヤギやラクダの毛を用いるところもあります。イランでは元来絨毯は遊牧民の生活の中から生まれた必需品で、日常生活にはウールの絨毯が使いやすいです。ペルシャの羊は寒暖差の激しい地方に住み非常に保温性が高く、かつ放熱性にも優れています。通気性が良く湿気を吸い取る機能に優れているため、日本の気候に適しています。快適な温度調節ができ、冬は暖かく、夏は涼しくお使いいただけます。弾力性に富み、伸縮性もあるので折り曲げたり引っ張ったりしても元に戻ります。強靭で丈夫なので長年使えます。動物の毛特有の脂が付いているため、表面の汚れを弾き、染みになりにくいのも特徴です。天然のウールは色染めがしやすく、草花や木で染めると素晴らしい発色をします。火事の際燃えにくいというのも長所です。ちなみにコルクウールというのは羊の毛の中でも特に質の高い柔らかな部分を使ったウールのことです。子羊の毛は一般的に柔らかいです。

ペルシャ絨毯の種類

【代表的な5大産地】
5大産地の絨毯は一般的に格が高く、品質も確かで高価になりますが、もちろん一点物の世界なので個々の差はあります。昔からよく輸入されて生産量も多く人気の高い、いわばブランド物のような産地です。

タブリーズ

イラン北西部の都市でその歴史は少なくとも3世紀のササン朝まで遡る。タブリーズのバザールは中東最古で、ユネスコの世界遺産に登録されている。ヨーロッパへの窓口として交易の要所で、西欧的文化の影響も受けている。バラエティ豊かなデザインがあり、ウール絨毯に定評がある。緻密な織りで多彩な色合い。代表的な柄に「マヒ柄(ペルシャ語で魚柄を表す)」と「フラワー柄」がある。マヒ柄は渋く落ち着いた色調でシックなアンティーク調や和室によく合う。フラワー柄はヨーロッパ王宮風のクラシック・スタイルや豪華で明るめのインテリアに合う。モチーフ・パターンではなく全体が絵画のようになった「ピクチャー絨毯」も有名。

ナイン

イスファハンの北東部郊外にある小さな高原都市。白・ベージュ・クリーム濃紺といった色彩が多く、日本人好みのシンプルで優しい柄が特徴。流通量も多く多様なサイズがある。ウール絨毯の名産地。細かさの表示として普通の織りのものは9L(ノーラ)、上級の織りのものは6L(シシラ)と呼ばれている。ソフトな雰囲気なのでさまざまなインテリアに対応できる。

イスファハン

中部高原地帯に位置するオアシス都市。サファヴィー朝時代に「世界の半分」と称賛されたように、素晴らしい歴史建造物が残る美しい街で、絨毯産業も大いに発展し洗練された華麗なデザインと色調を誇る。王朝時代には宮廷職人を育成したり、各地から腕の良い職人を集めたりした、ペルシャ絨毯の最高級産地の一つである。縦糸にシルクを使い、80万ノットを越える精巧な絨毯を織る。メダリオンと唐草模様といったペルシャ王道のデザインが多く、品格とオーラがある。色調も上品で、部屋を格段にアップさせてくれる。

クム(コム)

宗教色濃く残る街。シルク100%の絨毯の産地として有名で、巧みなデザインと技術を持つ。もともとはカシャーンの職人から指導を受けて絨毯産業には近年着手。そのため伝統に捉われず新しいデザインを追求し、多彩な色柄の絨毯を生み出している。工房同士で切磋琢磨し、世界中に優れた絨毯を輸出している。

カシャーン(カシャン)

イスファハンの北西部に位置する古都で薔薇の栽培や伝統工芸が有名。絨毯づくりも有名で、カシャーンの伝統技術はユネスコの世界無形文化遺産に登録されている。優れた技術を誇り、メダリオンタイプの絨毯が有名。花柄や蔓草模様・アラベスク文様など普遍的な柄が多くクラシカルな絨毯が特徴。色合いは赤・ベージュといった落ち着いた印象で、飽きがこないデザインでペルシャ絨毯の伝統を守っている。実用性が高くオーソドックスなデザインなので、さまざまなインテリアに対応してくれる。