睡眠の質を高めるなら、入浴は「就寝前」がおすすめ。

人間は、体の中心部の体温が下がると眠くなります。入浴するといったん体温が上がり、あとは急速に下がって行くので、そのタイミングで就寝すれば寝つきがよくなるわけです。入浴後は約90分で体温が下がるので、お風呂を出てから1時間半後を目安にベッドに入るようにしましょう。

就寝前の入浴を勧めるもう一つの理由は、副交感神経が優位になるから。自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は体に積極的な活動をさせる役割を担い、副交感神経は心身をリラックスさせて体を修復します。よって、ぐっすり眠るには仕事のストレスや緊張で交感神経が優位な状態から、副交感神経が優位な状態へと自律神経のスイッチを切り替える必要があります。そのためには、40℃くらいのお湯に浸かるのが効果的です。浸かる時間は10分から15分を目安としてください。

お湯が熱すぎると、交感神経が刺激されて眠れなくなるばかりか、血圧が上昇したり、血液の粘度が高まって血栓ができやすくなったりして、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まるので注意が必要です。

朝風呂はおすすめしません。なぜなら、夜の入浴より体への負担が大きいためです。特によくないのが、入浴による血圧の変動。朝は血圧が上がりやすく、脳卒中や心筋梗塞の発生が多い時間帯なので、入浴するとそのリスクをさらに高めてしまいます。朝に入浴して体温を上げると、1時間半後に体温が下がって眠くなるので、仕事に支障が出るというデメリットもあります。

朝の入浴は控えた方がいいのですが、朝起きて目を覚ましたいときの朝シャワーは有効です。42℃の熱めのシャワーを浴びると交感神経が優位になり、体が活動モードになって頭もシャキッとし、目覚めます。

夜の入浴と朝のシャワーで自律神経のスイッチを切り替えて、「昼間はしっかり活動し、夜はぐっすり眠る」という1日のリズムをつくると良いでしょう。

(「PRESIDENT/ぐっすり眠れる!脳科学」早坂信哉 / 温泉療法専門医より)