香りは、覚醒の状態を調整して鎮静状態に導くために用いられてきた長い歴史を持っています。

また、香りは味覚とも密接に関係していて、香りなしでは味覚が変わってしまいます。日本語で「におい」を漢字で書く場合、不快な香りの『臭い』と、良い香りの『匂い』のように、感じ方によって表記が分かれます。かれも古くから香りに馴染んできた日本人の経緯を示しているのでしょう。

ジャコウ、ミント系、ジャスミン系、ライムなどの柑橘系、シナモンやペッパーなどのスパイス系の香りには興奮性あるいは覚醒作用があり、白檀(サンダルウッド)、ラベンダー、カモミール、マンダリン、ゼラニウム、ティーツリーのような香りには鎮静作用のあることが知られています。近年では、心地よい眠りを誘う睡眠環境を調整する眠りグッズとして香りが用いられるようになってきています。

就寝の1時間前までは覚醒系の香りで脳や交感神経の活動を持ち上げておき、1時間前からは鎮静系の香りで脳や交感神経の活動を睡眠方向に調整し、心身をリラックスな状態にすると効果的でしょう。

ただし、香りには嗜好性があり、嫌いな香りは、鎮静系な香りであっても、脳が悪臭として認知します。寝つきを妨害することになってしまうのです。好きな香りがリラックスするというわけですね。その時の自分に合った好みの香りを用いるのがポイントです。我が家では、副店長(妻)がラベンダーの香りが苦手な為、ティーツリーやマンダリンをよく寝室で用います。

就寝前に覚醒レベルを上げるような香り、ペパーミントなどを揮散して学習し、寝付いた後の睡眠の前半で同じ香りを揮散すると、脳の海馬が活性化し、記憶の固定過程が増強され、学習効果が向上するという研究結果が報告されていますが、さて、効果のほどは…。

 (「ビジネスパーソンのための快眠読本」白川修一郎著より)